相場がようやく回復してきた。SPY は上がり、ウォッチリストにも強い銘柄が増えている。それなのに、ずっと辛抱強く持ち続ける理由を探してきた自分の株は、元の水準に戻るまで、まだひと上げ必要なところにいる。
もどかしい状況です。チャートを調整局面まで巻き戻すと、その理由が少し見えてくるかもしれません。市場が苦しんでいたとき、その株は踏ん張っていたのか。それとも、すでに市場以上に下げていたのか。
Larry Williams は、1972 年の著書『The Secret of Selecting Stocks for Immediate and Substantial Gains』の第 2 章で、この比較を重視しています。市場が弱いときの株について書かれた「holds up better than the averages」という一節を、私は「市場平均よりも底堅く推移する」と訳します。個別株と市場全体を並べ、値動きの違いを見るという考え方です。
私がこの箇所から持ち帰ったのは、相場の回復で安心できるようになる前から、銘柄の違いに目を向けることでした。下落相場では、多くのチャートが悪く見えます。それでも、売り圧力に抵抗している株と、市場に助けてもらう必要がある株の違いは見えてきます。
今回は Celsius(CELH)、lululemon(LULU)、そして S&P 500 指数に連動する ETF の SPY で、近年の例を見てみます。本記事で選んだ歴史的な事例であり、Williams が本の中で取り上げた銘柄ではありません。
まず、市場の底でチャートを止める
比較する期間は、3 銘柄とも 2025 年 2 月 19 日から 4 月 8 日にそろえます。SPY は 2 月 19 日の終値のピーク 612.93 ドルから 496.48 ドルまで下げ、下落率は 19.0% でした。
4 月 8 日は、この調整局面の終値で見た底です。日中の最安値は 4 月 7 日につけています。今なら振り返って底を特定できますが、4 月 8 日の引け時点では、その後にさらに安い終値をつけないとはわかりません。
最初のチャートは、そこで止めます。株価の異なる銘柄を比較できるように、3 本の線はすべて 2 月 19 日の終値を 100 としました。右端には、それぞれの実際の終値と、同じ期間の騰落率を示しています。
| ティッカー | 2 月 19 日終値 | 4 月 8 日終値 | SPY の調整期間中の騰落率 |
|---|---|---|---|
| CELH — 相対的に強い | 26.09 ドル | 33.89 ドル | +29.9% |
| SPY — 比較の基準 | 612.93 ドル | 496.48 ドル | −19.0% |
| LULU — 相対的に弱い | 367.22 ドル | 247.61 ドル | −32.6% |
市場の基準が 2 割近く下げる中で、CELH は上昇していました。もちろん、持っていれば毎日安心だったわけではありません。4 月 8 日の終値は、緑の水平線で示した 4 月 2 日の終値高値 36.75 ドルを下回っています。相対的に強いことと、毎日上がることは別です。
LULU は SPY より大きく下げていました。それを「相場が悪いから」で片づけると、見逃すものがあります。CELH にとっても同じ弱い相場だったのに、2 銘柄の反応は大きく違っていたからです。
この期間には、個別企業のニュースもありました。Celsius は 2 月 20 日に Alani Nu の買収を発表しています。ここで比較しているのは観察された値動きです。決算や買収、そのほかの事業上の変化を切り離して、相対的な強さの効果だけを測る実験ではありません。
この日までの情報で考えるなら、私には CELH を引き続き調べる理由が、よりはっきり見えます。LULU が以前より大きく値下がりしたというだけでは、モメンタムを重視する売買の候補として、より魅力的になったとはいえません。どちらの観察からも、買値、損切り価格、株数までは決まりません。
次に、市場が回復したあとの動きを見る
次のチャートを開く前に、考えてみてください。市場全体が改善するとしたら、厳しい環境でも前に進めると、すでに示していたのはどちらの株でしょうか。
その後の観察は 2025 年 6 月 27 日までとします。調整後、SPY が初めて 2 月 19 日の高値を終値で上回った日です。こうすれば、比較を終える日に市場側の基準ができます。選んだ株が最もよく見える日で、都合よく切り上げるわけではありません。
回復局面を見る:2025 年 4 月 8 日から 6 月 27 日
2 枚のチャートは、どちらも 2 月 19 日 = 100 のままです。そのため、右端の騰落率は「調整と回復を合わせた全期間」の変化を示します。次の表は起点を 4 月 8 日の終値に変え、その後の回復局面だけを比較しています。
| ティッカー | 4 月 8 日終値 | 6 月 27 日終値 | 市場の終値の底からの騰落率 |
|---|---|---|---|
| CELH | 33.89 ドル | 45.89 ドル | +35.4% |
| SPY | 496.48 ドル | 614.91 ドル | +23.9% |
| LULU | 247.61 ドル | 235.02 ドル | −5.1% |
4 月 9 日、SPY は 548.62 ドルまで反発し、1 日の上昇率は 10.5% でした。CELH は 37.25 ドルで引け、市場の底より前につけていた 36.75 ドルの高値を上回りました。これはその時点での 2025 年の終値高値更新であり、上場来高値の更新ではありません。チャート上の矢印と水平線が、この比較を示しています。
6 月 27 日には、CELH は 45.89 ドルで再び年初来の終値高値を更新していました。SPY は 614.91 ドルで引け、ようやく 2 月の高値を上回りました。一方、LULU の終値は 235.02 ドル。4 月 8 日の終値よりも低く、2 月 19 日の終値を 36.0% 下回る水準でした。
LULU にも、大きな反発はありました。6 月 4 日には 335.19 ドルまで戻してから、その上昇分を失っています。6 月 5 日の決算発表では通期利益見通しが引き下げられ、翌営業日の終値は大きく下落しました。期間全体を「一度も上がらなかった」と説明するのは不正確です。注目したい違いは、SPY が以前の高値を回復する日まで、その戻りを維持できなかったことです。
それまで強かった株は、その強さをさらに伸ばしました。弱かった株にも反発はありましたが、持ち続けた人は再び回復を待つことになりました。この例が示すのは、その違いです。強い株が必ず勝つ、出遅れ株はずっと弱いままだ、という法則ではありません。
Williams から持ち帰りたい習慣
調整局面のウォッチリストには、「どれほど安くなったか」だけでなく、その株が実際にどう動いているかを残したいと思います。
まず、同じ市場の下落期間で比較する。SPY が下がる中で踏みとどまる株と、SPY より速く下がる株では、書き留める内容も違ってきます。そのうえで、市場が落ち着き始めたときにも強さが続くかを見る。意味のある以前の高値を回復するのか。それとも、市場が追い風になっても苦戦するのか。
その考え方を毎日の作業に落とし込めるのが、AlpharvestPro のスクリーナーです。「詳細フィルター」の「指数より強い(直近)」または「指数より弱い(直近)」で、直近の比較日数を選び、それぞれのリストを確認します。市場データの更新後にデータの日付を確かめ、候補のチャートを開き、ウォッチリストを見直す。強い銘柄のリストは、底堅さに注目する手がかりになります。弱い銘柄のリストは、つい保有を正当化したくなる持ち株も含め、もう一度厳しく点検するきっかけになります。相場が回復する過程でもこの確認を続ければ、Williams の本で読んだ考え方が、日々のリサーチ習慣として定着していきます。
すでに保有している株なら、少し耳の痛い、でも役に立つ問いにもなります。買いが戻ってくる様子を見ているのか。それとも、市場全体の反発を、自分の持ち株も回復するという約束に置き換えているのか。売買のルールは、あくまでトレード計画で決めるものです。比較チャートは、その計画が立っている前提を見直す助けになります。
この事例は、その後の結果を知ったうえで選んでいます。考え方をわかりやすく示せても、ウォッチリスト全体でどの程度うまくいくかまではわかりません。値動きだけで買い手を特定することも、プロによる買い集めを証明することもできません。
私が覚えておきたいのは、相場がまだ難しいときから比較しておく意味です。指数が回復したころには、出遅れ株の以前の株価が、「当然戻るべき場所」に思えてくることがあります。でも、チャートはそんな約束をしていません。
参考文献とチャートについて
Larry Williams(1972)、第 2 章。特に相対的な強さと、買い集め・売り抜けのチャートパターンに関する議論。引用の日本語は本記事による訳で、出版された邦訳からの引用ではありません。現代の銘柄、日付、計算、読み手としての解釈は本記事独自の応用であり、この 2025 年の期間を選んだのは著者ではありません。
NASDAQ:CELH、LULU。NYSE Arca:SPY。日々の終値を比較し、期間は 2025 年 2 月 19 日から 6 月 27 日、最初の図の区切りは 4 月 8 日です。それ以前の 2025 年の終値高値は、1 月 2 日以降の取引データで確認しました。保存データの終値欄を使用し、配当と取引コストは含めていません。したがって、投資のトータルリターンや実際の売買成績ではありません。事例と市場の底は、事後的に選んでいます。