2026年9月14日、月曜日の夜。AlpharvestPro の2つのスクリーニングが、重複を除いて255銘柄の米国株をリストアップしました。VCP セットアップ (ミネルヴィニ) は197銘柄、スリー・ウィークス・タイト(O’Neil) は60銘柄で、そのうち2銘柄は両方に入っていました。
255件の取引をきちんと準備できる人はいません。これほど長いリストは、本当に大事な2つの判断を見えなくしてしまいます。どの銘柄が行動に移せるところまで近づいているか。そして、その銘柄が失敗したとき、いくらの損失になるか。
Think and Trade Like a Champion に書かれた Mark Minervini の日課は、シンプルなところから始まります。「毎晩、私は翌日の取引に向けて準備をする」。新しい候補が「取引を実行するエントリーポイントに近づいている」かどうかも問います。William O’Neil は How to Make Money in Stocks で、「各銘柄について、買いを検討する買いポイントを書き留める」ことを勧め、各銘柄の1日あたりの平均出来高も記録するよう述べています。「やがて、リストの中の1、2銘柄が買いポイントに近づき始める」。株価がその水準に達したとき、O’Neil が求めるのは「平均を少なくとも50%上回る」出来高と、堅調な全体相場です。
間違うことを想定し、そのうえで備える
どちらの著者も、高い的中率を約束してはいません。O’Neil は「おそらく、正しいのは半分にも満たない!」と書いています。Minervini も、長い目で見れば「買った銘柄のうち、正しいのはおそらく50%だけ」だと述べています。彼は、75%の打率に頼るくらいなら、25%の打率でも利益を出し続けるほうを選びます。「何度間違っても、なお利益を出せる」からです。
そうなると、ウォッチリストのメモに書くべき内容が変わります。買いポイントは、いつ行動するかを教えてくれます。手仕舞いとポジションサイズは、間違えても耐えられるかどうかを決めます。ですから、この2つがないメモは未完成です。
255銘柄から短いリストへ
私は、その夜のリストに機械的なフィルターをかけました。条件は、その後に何が起きたかを見る前に固定しています。株価が10ドルを超え、1日の平均売買代金が2,000万ドル以上の銘柄を残します。基準となる買いポイントは、直前15営業日の最高値に置きます。終値がその水準から下方5%以内にある銘柄だけを残します。
62銘柄が残りました。その後の3週間で、40銘柄は基準に定めた水準を一度も終値で上回らず、それらのメモは単に期限切れになっていたでしょう。上回った22銘柄のうち、10銘柄はその日の出来高が50営業日平均を50%以上上回っていました。これらの数は、ある1夜と1つのルールの結果であり、どちらの著者の手法の成績でも、AlpharvestPro のプリセットの成績でもありません。見えてくるのは、作業の形です。ほとんどのメモは期限切れになり、計画で求めたとおりに条件が成立するのはごく一部です。
5行で書くメモ
- リストに入れた理由:主導株としての根拠と、チャートのパターン。
- 買いポイント:セットアップが行動に移せる状態になる価格。
- 確認条件:必要な出来高と市場環境を、事前に決めておく。
- 撤退ラインとポジションサイズ:考えが間違いだったと判断する位置と、損失を予算内に収める株数。
- 有効期限:メモを削除するか書き直す時点。日付、予定されている決算発表、または買いポイントを再び下回る終値。
最初の3行は、機会を記述するものです。最後の2行は、相場にとどまり続けるためのもので、空欄のまま残されることがいちばん多いのもこの2行です。
Natera:すべての行を埋める
Natera(NASDAQ: NTRA)は、AlpharvestPro の日付付きスクリーニング記録によると、9月14日に スリー・ウィークス・タイト(O’Neil) に該当しました。次のチャートは、その日の終値時点のものです。
緑の破線:買いポイント。赤の破線:撤退ライン。黒い点:3つの週足終値。出来高パネル:50営業日の平均出来高と、9月14日の値を50%上回る線。どのチャートも、タップまたはクリックで原寸表示できます。
| 項目 | 9月14日の夜の NTRA |
|---|---|
| リストに入れた理由 | AlpharvestPro では RS 95、ミネルヴィニ・スコア(トレンドテンプレート)10/10。終値341.79ドルは、上向きの50日移動平均線298.07ドルを大きく上回っていた。NTRA は、第2四半期決算の翌営業日にあたる8月7日に21%急騰したあと、3つの週足終値が0.8%以内に収まった。326.26ドル、328.18ドル、328.93ドル。 |
| 買いポイント | 343.18ドル。タイトな保ち合いの上限にあたる8月27日の高値で、52週高値でもある。終値はそこから0.4%下だった。 |
| 確認条件 | 50営業日の平均出来高は約123万株で、これを50%上回ると約184万株。SPY は上向きの50日移動平均線を0.3%上回って引けた。 |
| 撤退ラインとポジションサイズ | 316.00ドル。タイトな保ち合いの下限にあたる8月31日の安値で、買いポイントより7.9%下、O’Neil の7~8%の損切りルールの範囲内。仮の口座資金40,000ドルでリスクを1%(400ドル)とすると、1株あたりのリスクは27.18ドルなので14株、金額は約4,805ドル。 |
| 有効期限 | ブレイクアウトのないまま3週間たったら失効。Natera の直近の決算は8月6日で、次の発表日は公表されていなかった。 |
この終値の並びは、好ましいタイトな保ち合いについての O’Neil の描写と一致します。「数週間連続で、終値が前週の終値と変わらないか、きわめて近い水準にある」。
出来高の条件は、チャートが静かなうちに決めておきます。Momentum Masters の座談会で、David Ryan が好むのは「少なくとも25%増」のブレイクアウト出来高で、O’Neil の50%より低い基準です。そこで、結果を見る前に考えてみてください。NTRA が明日、平均を44%上回る出来高で343.18ドルを上抜けたとき、自分のメモには「買う」と書いてありますか。
NTRA のその後6週間を見る
9月15日:NTRA は買いポイントを上抜け、350.78ドルで引けました。買いポイントを2.2%上回り、出来高は177万株で、平均を44%上回っていました。Ryan の25%は超えましたが、O’Neil の50%には届きませんでした。また、SPY は50日線を0.2%下回って引けました。50%を条件にしたメモの答えは「まだ早い」でした。
9月16日:343.27ドルまで下げました。買いポイントを9セント上回る水準です。終値は345.34ドルでした。Minervini は、株価が「最初のブレイクアウト水準か、それをわずかに下回る水準までプルバックする」のは40~50%の場面であり、「株価がかなり早く回復する限り」これは正常だと指摘しています。彼はこの違いを、テニスボールと卵にたとえています。
9月17日:出来高は256万株で、平均を108%上回りました。終値は366.31ドルで、買いポイントを6.7%上回っています。
NTRA は10月27日まで、再び買いポイントを下回って引けることはありませんでした。この日の終値は410.82ドルで、買いポイントを19.7%上回っています。撤退ラインが試されることは一度もありませんでした。それでも、このメモにはまだ明かしていないコストがありました。
| 仮のエントリー | 価格 | 撤退ライン | 1株あたりのリスク | 400ドル以内の株数 | ポジション金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 買いポイントで(9月15日に到達) | 343.18ドル | 316.00ドル | 27.18ドル | 14 | 4,804.52ドル |
| 出来高+108%の日の後(9月17日の終値) | 366.31ドル | 316.00ドル | 50.31ドル | 7 | 2,564.17ドル |
確認を待つと、同じ予算でポジションは半分になりました。366.31ドルで同程度の株数を保とうとすれば、手仕舞いの位置を、その価格から O’Neil の8%損切りラインにあたる337.01ドル付近まで引き上げることになり、その場合の株数は13株です。この水準は買いポイントを下回っており、Minervini が通常のプルバックがよく届くと述べる範囲の中にあります。代償のない選択はありません。あるのは、熱くなる前に決めた選択だけです。
CHEF:同じパターン、出来高が伴わない
The Chefs’ Warehouse(NASDAQ: CHEF)は、9月28日から10月2日まで、同じスリー・ウィークス・タイトのリストに載っていました。数字の上では似ていました。RS 94、スコア 10/10、週足終値は110.45ドル、110.85ドル、110.27ドルで、0.5%以内に収まっています。買いポイントは9月8日の高値115.15ドルで、すぐ上には9月1日につけた52週高値117.65ドルがありました。平均出来高は約684,000株で、メモの出来高の基準は103万株付近でした。
10月2日、CHEF は116.42ドルで引け、買いポイントを1.1%上回りました。ただし出来高は632,400株で、平均を8%下回っていました。
見方は先ほどのチャートと同じです。金色の点線は9月1日の高値を示します。10月2日は日中にこれを上回って取引されましたが、終値は下回りました。
価格の条件は満たしています。出来高の条件には、まったく届いていません。SPY は上向きの50日移動平均線を0.8%上回って引けており、市場が障害だったわけではありません。自分のメモには何と書いてありますか。
10月27日までの CHEF を見る
10月5日、CHEF は反転して111.07ドルで引け、買いポイントを再び下回りました。出来高は平均を20%上回っていました。テニスボールではなく、卵でした。10月22日には106.75ドル、10月27日には103.68ドルまで下げ、これは買いポイントを10.0%下回る水準です。
たとえば、それでも116.42ドルの終値で買った人がいたとします。その価格からの O’Neil の8%損切りラインは107.11ドルで、1株あたりのリスクは9.31ドル。同じ400ドルの予算なら42株です。このラインに最初に届いたのは10月22日で、コストとスリッページを考慮する前の計画上の損失は391.02ドル、口座のおよそ1%でした。「終値が買いポイントを再び下回ったら手仕舞う」とも書いてあるメモなら、10月5日に動いていたことになります。その時点は、その買値より約4.6%下でした。
どちらの場合でも、失敗したブレイクアウトの代償は、計画上、口座の1%以下でした。失敗を仕組みに織り込むとは、こういうことです。CHEF は10月14日に、10月28日の寄り付き前に決算を発表すると告知していました。この下落は決算発表より前のことで、実際に使うメモなら、この日付は有効期限の行に入れるべきものでした。
出来高だけでは、勝者を選び分けられなかった
ZD は、9月14日に NTRA と同じリストに載っていました。9月15日、NTRA が平常より44%多い出来高で買いポイントを上抜けたとき、ZD も自分の基準高値57.68ドルを終値で上抜けました。出来高は平均を71%上回っていました。しかし3営業日後には、その水準を終値で再び下回りました。
ここでの NTRA は、典型的な例ではなく、きれいにうまくいった例です。その数週間、同じリストの多くの銘柄が買いポイントを再び割り込みました。両書の打率についての警告が示すとおりです。出来高の条件は、行動に移るための前提であって、予測ではありません。理にかなった試みが何度失敗しても、それが大きなドローダウンに膨らむのを防ぐのは、撤退ラインと株数です。
AlpharvestPro で日次ルーティンを回す
スクリーナーの日次EODルーティンも、同じ順序で進みます。市場環境 → 先導グループ → 候補スクリーニング → チャート確認 → ウォッチリストとリスク。
- 市場環境:データの日付を確認し、マーケットコンパスで市場の広がりを確かめます。
- スクリーニング:VCP セットアップ (ミネルヴィニ) またはスリー・ウィークス・タイト(O’Neil)を実行します。スリー・ウィークス・タイトでは、各銘柄の終値差と、52週高値からの距離も表示されます。
- チャート:描画ツールで買いポイントと撤退ラインに印を付けます。出来高パネルには、50期間の出来高移動平均がすでに表示されています。
- ウォッチリスト:5行すべてを書き終えた銘柄にだけ★を付けます。Pro と Ultra のプランでは、ウォッチリストアラートが、★を付けた銘柄が別のプリセットに該当したことを知らせます。AlpharvestPro の記録では、NTRA は9月17日にポケット・ピボット(Morales & Kacher)、9月18日に RVOLリーダーに該当しています。アラートは、メモを読み返すきっかけです。
- ポジションサイズ:買いポイント、撤退ライン、リスク予算をポジションサイズ計算機に入力します。計算の流れは、当サイトの CPAY の例で確認できます。
今夜は、リストを5銘柄までに絞り、それぞれ5行すべてを書いてください。撤退ラインと株数が空欄のままなら、チャートがどれほどよく見えても、その銘柄は明日に向けた準備ができていません。長いリストはチャンスがあるように感じさせます。一方、手仕舞いがすでに書いてある短いリストなら、直前の銘柄が失敗したあとでも、次の良いセットアップに取り組み続けられます。
読書・チャート注記
Mark Minervini, Think and Trade Like a Champion、第1・2・3・5節。ブレイクアウト後のプルバック、リスク優先の取引、打率、夜の準備について。David Ryan, Momentum Masters、第4節。ブレイクアウト時の出来高について。William J. O’Neil, How to Make Money in Stocks、第2・10・17章。タイトな保ち合い、7~8%の損切りルール、買いポイントの書き出しについて。引用の日本語は本記事による訳であり、刊行済み日本語版からの引用ではありません。5行のメモ、絞り込みのフィルター、現代の事例は、本記事独自の応用です。
NASDAQ:NTRA、CHEF、ZD。市場の確認には SPY を使用しました。日足の価格は、AlpharvestPro のチャートの元になっているアーカイブから2026年10月28日に取得したものです。リストへの該当は、日付付きのスクリーニング記録によります。NTRA の最初のチャートは9月14日の終値、CHEF は10月2日の終値までで、2つの結果チャートはどちらも10月27日までです。買いポイント、撤退ライン、エントリー、ポジションサイズは仮定であり、コスト、スリッページ、ギャップは含みません。事例は結果を知ったうえで選んでおり、どの手法がどれだけの頻度で機能するかを測るものではありません。