会社の見立ては合っていた。値動きの方向も、大きくは間違っていなかった。それでもトレードはうまくいかない。こういう損失は、妙に後を引きます。
その銘柄はリーダー株のリストに載り、チャートは右肩上がり。押すたびに買いが入っているように見える。ようやく買った途端、それまで普通に見えていた押し目が、一大事に変わってしまう。
Mark Minervini の本を読んでいて私が気になるのは、銘柄が「注目に値する」と判断されたあとにも、まだ多くの仕事が残っていることです。『Think and Trade Like a Champion』の第 6 節では、トレンド・テンプレートで対象を絞り込みます。ただし、具体的なセットアップや買う位置には、さらに判断が必要です。William O’Neil も『How to Make Money in Stocks』の第 2 章と第 7 章で、リーダー株であることと、適切な買い場が形成されていることを区別しています。
私はこれらの箇所を、「良いスクリーニング結果だけで売買計画が完成したと思わないこと」という注意として読みました。リストは、調べる価値のある銘柄を見つける助けになります。その先には、不確実性を引き受けるために、どこまでの価格を払えるかという判断が残ります。
NVIDIA のチャートを、いったんここで止める
以下は 2024 年 11 月 7 日までの NVIDIA です。この日の終値は 148.88 ドル。それ以前の上昇は見えますが、その後の値動きはまだ表示していません。
赤い破線は、以下の比較に使う仮の損切り価格、132.11 ドルです。
結果を見る前に、考えてみてください。このトレードの想定が崩れたら、どこで手仕舞うのか。その価格は、買値からどれくらい離れているのか。
同じ NVIDIA のチャートで計算します。ここでは、10 月 31 日の安値である 132.11 ドルを手仕舞い価格に設定したと仮定します。あくまで比較のために選んだ価格です。チャート上ですでに確認できる 2 日分の終値を、買値として比べてみます。
| 仮の買付日 | 買値に用いる NVIDIA の終値 | 同じ手仕舞い価格 132.11 ドルまでの値幅 |
|---|---|---|
| 11 月 5 日 | 139.91 ドル | 1 株当たり 7.80 ドル |
| 11 月 7 日 | 148.88 ドル | 1 株当たり 16.77 ドル |
高いほうの価格で買うと、同じ手仕舞い位置までの下落幅は 2 倍以上になります。 株数が同じなら、計画上のドル建て損失額も 2 倍以上です。NVIDIA 自体は引き続き強く見えても、高く買ったことで、トレードの管理は難しくなっています。
NVIDIA のその後のチャートを見る
11 月 15 日の終値は 141.98 ドルで、11 月 7 日の終値を約 4.6% 下回りました。その後、11 月 19 日には 147.01 ドルで引けています。同じ下落と回復でも、買値や手仕舞い計画が違えば、トレーダーの体験は大きく変わります。
この観察から最適な買値がわかるわけではありません。11 月 7 日に有効なセットアップが成立していたと示すものでもありません。ここで考えたいのは、強いチャートを見ただけでは答えが出ない問いです。この買い方で、その銘柄の値動きに対応できるでしょうか。
買わずに見送ることを、自分に許せるか
Minervini は「Have a process, any process, but have a process.」と書いています。私なら「何かしらの手順を持とう。どんな手順であれ、とにかく手順を持つこと」と訳します。文脈にあるのは、評価し、改善できる明確なプロセスの大切さです。この一文を読むと、候補を見つけてから、実際に保有すると決めるまでの小さな間を考えます。
見送る判断は、矛盾しているように感じることがあります。今しがた強い銘柄だと説明したのに、買わないのか。でも、調査上の見方と実際のポジションでは、引き受けるものが違います。保有すれば、買値、株数、手仕舞いの課題に加え、自分の注意力もその銘柄に割くことになります。
AlpharvestPro なら、RS Leaders や Minervini Trend Template といった公開のリサーチ分類を、調べ始める入口として使います。ただし、ここで名称を挙げたことは、図の過去の日付に NVIDIA が該当スクリーニングを通過していた証拠ではありません。プリセット名に頼らなくても説明できる判断を、チャートが支えているかを確認する必要があります。
次に候補銘柄を調べるときは、短いメモを 2 文だけ書いてみてください。まず、なぜ注目する価値があるのか。次に、なぜ現在の価格ならそのトレードを引き受けられるのか、あるいは、なぜ待つのか。2 文目が 1 文目の繰り返しにしかならないなら、まだ考える余地があります。
私には、この区別が少し気を楽にしてくれます。強い銘柄を評価することと、強く上がるたびに自分も買うことは、同じではありません。
参考文献とチャートについて
Mark Minervini『Think and Trade Like a Champion』第 1 節「Have a Process」、第 6 節のトレンド・テンプレートに関する説明。William J. O’Neil『How to Make Money in Stocks』第 2 章、第 7 章のピボット・ポイントとリーダー株に関する説明。本文の解釈と計算例は独自の応用であり、両著者が承認した統合売買ルールではありません。引用の日本語は本記事による訳です。
NVIDIA(NASDAQ: NVDA)、米ドル建て。2024 年 10 月 1 日から 12 月 6 日までの日次 OHLCV(始値・高値・安値・終値・出来高)を使用。判断時点の区切りは 11 月 7 日の終値です。買値と手仕舞い価格は仮の比較であり、実際の売買報告や推奨する損切り水準ではありません。実際の約定価格は異なることがあります。既存の Yahoo Finance/yfinance 由来の保存データを、2026 年 10 月 15 日に取得しました。チャートの作成方法と制約。
チャートの作成方法と制約
AlpharvestProが既存のYahoo Finance/yfinance由来の日次保存データから作成したチャートです。ローソク足には保存された始値・高値・安値・終値を使い、別項目の調整後終値は使っていません。出来高の単位は百万株。休場日は横軸上で省略しています。事後取得の保存データのため、過去の調整によって当時の表示価格と異なる場合があります。選んだ事例は説明用であり、バックテストではありません。
NVIDIAの観察用チャートは2024年11月7日終値まで。その後の結果を別に示す図は12月6日までです。保存データは2026年10月15日に取得しました。
学習のための解説であり、個別の投資助言や売買推奨ではありません。